総額数十億 株急落で顧客払えず
東証マザーズ上場の電気検査装置メーカー「オー・エイチ・ティー」(広島県福山市)株の取引をめぐり、証券会社10社以上に、顧客から代金が支払われず、総額数十億円の損害が出ていることがわかった。委託保証金(担保)の約3倍の株の売買ができる信用取引を行っていた顧客が大半で、同社株の急落で多額の損失を抱えたことが原因とみられる。同社の株価は2005年以降、業績と関係なく高騰し続けていたという経緯があり、金融当局も関心を寄せている。
業界関係者は「信用取引をめぐり、多くの証券会社で多額の損害が出るのは異例」と話している。
同社は03年4月、東証マザーズに上場。株価は当初、主に10万〜20万円台だったが、05年秋から上昇し始め、翌06年末には100万円を突破した。今年に入ってからも100万〜150万円台で推移していたが、先月、大量の売り注文が入って急落、今月14日の終値は14万8000円だった。関係者によると、株の信用取引では通常、顧客が30%の委託保証金を証券会社に担保として差し入れる。株価が値下がりした分だけ支払う損失分も膨らむことになる。
今回の事態は、株価の急落で、支払いができない顧客が相次いだことが原因とみられ、東京や大阪などの10社以上の証券会社で、代金の未払いが大量に発生した。中には約10億円の損害が出た会社もあるという。
各社は、弁護士を通じるなどして顧客に支払いを求めているが、複数の証券会社と取引し、未払いになっている顧客もいるという。
ある証券会社によると、昨年以降、信用取引で何度も大量の売買を行い、利益を上げていた顧客がいて、株価に多大な影響を与えて市場の公正さを損なう恐れがあるとみて、注意喚起したことがあった。
一方、同社の株価は、05年秋に30万円を超えてからわずか1年で100万円の大台に乗ったり、先月に突然暴落したりと、値動きの激しさが際立っている。オー・エイチ・ティー社は「当社は、株価に大きく影響する発表をしておらず、思い当たる節がない」と話しているほか、複数の証券会社の関係者も「これだけ株価が上下する材料があるとは思えない」と指摘する。
金融当局は今後、不自然な値動きの背景を解明していくとみられる。
信用取引
顧客が証券会社に委託保証金を担保として差し入れ、買い付け資金や売り付けに必要な株券を借りて証券会社を通じて株を売買する仕組み。買い付けの場合、株価が上がれば売却益を得られるが、値下がりした場合は売却損を証券会社に支払うなどしなければならない。
(2007年6月15日 読売新聞)
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